2008.04.30 Wednesday

呪縛(001)

わたしのなまえ
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2008.04.30 Wednesday

呪縛(本文・第2章)

第2章
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2008.04.30 Wednesday

呪縛 トモ君

・柚澤知幸(19歳)
光征の弟。年齢が離れているが両親は同じ。
間に生きてたら25歳になる子供がいたが、早産でだめだった。
(柳原の事故のショックによるもの。その後しばらく子供ができなかった)
現在、大学生(工学部)
ほとんど海外暮らしの両親、会社に泊まりこむことが多い光征・・・と、家に帰っても誰もいないからと、家に近寄らなくなった。友達のところを点々としている?
光征を「みつにい」、正輝を「まさにい」って呼んでいる。


遥は知幸が怪我しているところを助けた。
それから、月に1・2度程度、アパートに泊まりにくるようになった。
遥は「血統書付の野良猫」と呼んでいる。
肉体関係はなし。互いにひっついて寝る・・・ってことはある。

友人とランチに出たら、偶然トモと会う。
「遥さーん!」>元気いっぱいで声をかけてくる。
「トモ君?」
「うわっ。偶然! ランチ?」
「そう。トモ君、貴方、大学行かなくていいの?」
「今日はサボりー」
「いつもでしょ」
「手厳しいなぁ、遥さんは」>少しぶーたれます。
「あ、じゃあ、今晩、また行っていい?」
「・・・来てもいいけど。私、今日は夜勤だから、8時には出てくわよ?」
「えー、つまらない。来週なら日勤?」
「そうね」
「じゃあ、来週にしよ。また、メールするね!」

一緒にいた友人が呆然と見ている。>遥の男嫌いを知ってるから。
「何? 今の誰?」
「ん? トモ君」
「トモ君って・・・。遥、いつの間に彼氏できたの。しかもどう見ても年下でしょ?」
「トモ君は彼氏じゃないよ」
「じゃあ、何?」
「そうねぇ・・・。弟っていうか・・・。猫?」
「猫ぉ?」
「うん。血統書付の野良猫って感じかなぁ。ほら、野良猫って餌もらえるところがわかってて、ふらふらとそういうところを回ったりするでしょ? 食べるだけ食べて、またふいっていなくなっちゃう」
「野良猫ねぇ・・・。で、何で血統書付なの?」
「多分、育ちはいいと思う」
「そうなの?」
「うん。ドラマとかであるじゃない。両親が海外行ってて、子供は放っておかれる・・・みたいな。家に帰っても誰もいない・・・とか。淋しさ紛らすのに、友達の家とか泊まり歩いてるんじゃないかな」
「ああ、まぁ、ありがちね」
「言葉遣いとか、ちょっとした行動にそういうのって出るじゃない? きちんと躾けられてる。詳しくは知らないけど」
「詳しく知らないって・・・」
「私はあの子のこと、トモ君って名前と自称19歳ってことと、メルアドと電番くらいしか知らないし。トモ君だって、私のアパートとメルアドと電番と、たまに夜勤やってるってことくらいしか知らないんじゃないかな? お互いのこと、あんまり話さないし」
「・・・じゃ、何話てんのよ?」
「サーバのこととか?」
「サーバ・・・」
「あの子、システム工学部なんだって。だから、LSI回路とかLinuxとか・・・」
「・・・もういいわ」>そういえば、あんたも工学ね。

初めて会ったのは、1月で東京に初雪が降った日。
仕事が夜中までかかってしまって、終電で帰宅したらアパートの前で怪我して倒れてた。
雪も積もってきてたし、凍死しちゃうかと思って家に入れた。
部屋に連れてって、自力でシャワー浴びさせて、カップスープ飲ませて、手当てして寝かせた。
遥はホットカーペットの上に、毛布被って寝ていた。>枕はクッション
明け方に目を覚ましたトモが、「お布団、取っちゃってごめんなさい」と、
毛布に包んだまま、布団の中に運んで後ろから抱き締めるようにして寝ていた。
「怪我が治るまでね」とそのときは、1週間ほど、泊めた。

それから、時折、ふらっと泊まりにくるようになった。
私は野良猫に餌付けしてしまったようだ。
でも、性交を求めてくるわけでもなく、ただ、一緒にご飯を食べて、ころんと寝るだけ。
いつもは不眠症の遥だが、なぜか、トモと寝るとよく眠れる。>人肌のせい?
それに。あの屈託ない笑顔で「泊めて」って言われると、拒めない。
後々。遥が光征といるときに、ばったりと出くわしてしまって、兄弟だと知る。

2008.04.28 Monday

呪縛ぷろっと

・ワイズコーポレーションは、世界を相手に仕事していることもあり、なんだかんだと24時間稼動している。
・情報システム部もその対応のために、夜勤(3人)がある。
・専務と秘書室長は、「ダリューン」と「ナルサス」かな?>無骨と策士


・遥は夜勤の途中休憩(空が白む手前くらいの時間)で11階の休憩室に来ていた。
 会議室やミーティングルームが並ぶ11階は、日中であれば人が多いが、夜になれば人がいない。
 実は、ここは夜景スポットとして、社内では有名。
・コーヒーを飲みながら、まがい物の宝石を眺める。
 レインボーブリッジの上に光る月が、ちゃっちく見える。
・本当の闇夜に浮かぶ月は、あんなに威力があるのにね。
・ぼんやりしていたら、携帯が鳴る。呼び出しだ。
 「はい。星野です」「休憩中にごめんねー。社長室に行ってもらえないかなー?」
 「社長、まだいらっしゃるんですか?」「秘書室から電話来たから、いるんじゃないのかな?」
 「でも、社長室はいつもは織枝さんが・・・」
 「織江君、今、サーバ室でトラブってて。手が離せそうにないんだ。頼む! 僕じゃ、無理!」
・12階にだけは行かないようにしていたのに。
 だが、仕事だ。好き嫌いは言っていられない。
・階段で12階に上ると、秘書室に顔を出す。「情報システム部の星野と申します」
 「こんな時間にすみません」「いえ」
 そのための当直だ。
 「情報システム部は女性にも夜勤させるんですか?」
 「他の部署でも、泊り込みとかされている方はいらっしゃいます」
 「ああ、そうですね。うちの会社、人使い荒いから」
 「でも、社長もこんな時間まで?」「今日は、社長ではなくて・・・」
・社長室のドアを開けると、不貞腐れた光征(専務・社長息子)がいた。
 「社長は、今ミラノに行ってまして。こいつが社長業務を代行してるんですよ。
  こいつ、昔っからクラッシャーだから」
 「誰が、クラッシャーだ!」「じゃあ、再インストール魔」
・「失礼します」光征が席を立ったが、椅子には座らず、屈み込んでキーボードを叩く。
 「座っていいよ」「いえ。大丈夫です」
・「コーヒーでも淹れましょう」「あ、俺にも」
・ひと段落したところに、コトンとコーヒーが置かれる。
 「どうぞ」「すみません」「ミルクとお砂糖は?」「いえ、入れません」
 「直りそうですか?」「起動はしますが、専務が再インストールされたようなので、データが・・・」「消えましたか?」「基本的には保存先はサーバになっているはずです。ですから、その分に関しては問題ないと思いますが、プライベートでローカルドライブに保存されていたものがありますと、バックアップを取ってなければ、消えてますね」
 「光征、バックアップは?」「俺が取ってると思う?」「・・・ですね」
・「あとは、一通り初期設定を行いますので。一時間ほどいただけますか?」
 「わかりました。では、お願いします」
 システム部に電話をかけ、「今から取りに行きますので、社長のIDの再発行をお願いします」
 一旦、社長室を出て、必要なものを4階に取りにいく。
 また、戻って端末操作。
・その間、結局、椅子に座らなかった。
 そんな遥を「へえっ・・・」と光征が見ている。

2008.04.28 Monday

呪縛 裏設定とか

大学時代の同級生から、柳原・柚澤・芳川のワイズ3人組の話を聞く。
遥の母・弥生も同じYだから・・・ってことで、仲が良かったみたいだと。
3人のことを調べるうちに、柳原と弥生が恋人同士だったことを知る。
だが、柳原は山で遭難。遺体は見つかっていないとのこと。
行方不明になった日付を見る限り、遥の父親ではありえない。
その頃は、柚澤も芳川も結婚していたから、失意の弥生を慰めているうちに過ち?みたいな。>遥の想像の域を超えてません
で。遥は勝手に柚澤だと思い込んでいる。
復讐・・・ではないけれど、自分の姿を見せつけてやろうと、ワイズに入社。
(最近は、ちょっと後悔中/意味ないことしてるなー・・・と)
そして。柚澤の息子・光征(専務)と知り合ってしまう。
大きい会社だし、一社員と専務なんて、接点がないから大丈夫だと思っていたのに、仕事で関わってしまった。
好意を寄せられて困ってしまう。>異母兄妹だと思ってるからね
逃げるように、地元のクラス会に帰郷する。
そこで、「でも、誰だって何かしら、縛られてるんじゃない?」という話題になる。
山岳救助やってる貴志に、山につきあってもらう。>柳原が遭難した山(登山経験はないから、ある程度近付いてから眺めるだけ)
その山は、遥が母と暮らした家から、遠くにだが見えていた山。
母が愛したのは、結局、柳原だったのだろうか?
だから、この町で私を生んだの? もしかしたら、柳原が帰ってくるかもしれないから?
遥の本当の父親のことを愛していなかったから、自分には何も言わなかったのだろうか。
「母がわからなくなったわ」
「・・・両方だと思うぜ」
「え?」
貴志は遭難者の家族をたくさん見てきた。遺体が見つかるまでは、「死んだ」と思えないのだ。
そして、遥のことを生んで育てたんだから、遥の本当の父親のことだって愛していたんだろう。
じゃなきゃ、中絶してるさ。
女1人で、子供を育てるってことは、それだけ大変なことさ。
「・・・貴志は、康大のことがあったから、山岳救助隊になったの?」
「んー? 元々、山は好きだったからなぁ」

2008.04.24 Thursday

星屑の欠片

 咲いて
 散って
 生まれて消えて
 瞬いて
 誰にも知られずさらららら

 哭いて
 果てて
 おどけて揺れて
 またねって
 小さな輝きららららら

 満天の
 星空に
 紛れて消えて
 さようならきらり星のむこう

2008.04.24 Thursday

Green Planets

双子が経営するガーデニングアドバイザの店。屋上緑化のアレンジもやっている。
藤枝 朋(ふじえだ とも):姉。引込み思案なドリーマー。草木とお話しちゃうようなタイプ。
藤枝 晶(ふじえだ あき):妹。きっちりとデザインしていくタイプ。
店名の「Planets」は、2人の名前に「日」と「月」があるから。
でも、ガーデニングの店なので、「Plants」とよく間違われる。
元々、晶が建築会社に就職、朋は花屋で働いていた。ある家の新築の際に、庭をどうしよう・・・という話になり、晶が「うちの姉、ガーデナーやってますから相談してみます?」と提案。
個人宅のガーデニングを受け持ったことからスタートしている。
現在ではプランニングを晶が、実際のガーデニング作業を朋が担当。
ただし、「作業中はどなたも屋上に来ないこと」を条件にしている。
ある日、お得意様のA社の屋上のメンテナンスに行くと、給水塔の上で寝ている社員がいた。




 芝生は人が座ったときのことを考えて、柔らかめの種類を。疲れをとる効果をもたらしてくれる青色の花を中心に、季節の花をバランスよく配置する。元気に葉っぱを広げてくれるアイビーを周囲に植える。出入口からのアプローチには別世界に誘うように少しだけアーチを作り、藤とバラを絡ませる。
「みんな、今日も元気ね」
 陽当たりのよい屋上庭園。光を充分に浴びた草花が風にそよぎ、甘い香りを漂わせている。
 一ヶ月に一度の定期メンテナンスのために安積物産ビルの屋上にやってきた。ここは朋が始めて一人で手がけた屋上庭園だったから、愛着もひとしおだ。
 蛇口にホースを繋いで、キュッとコックを捻る。水のシャワーが陽光を受けて煌めく。角度を変えると人工的にだが虹ができる。

2008.04.24 Thursday

■He's not there.

 どうして、いつも。
 オレはそこにいないんだろう。

 一番大切なものを。
 この手で、守りたいのに。



 佐藤刑事と高木刑事が乗り込んだヘリが、貯水ダムの上空へとやってきた。
 助かったと安堵すると同時に、もう一人、助けなければならない人のことを想った。
 燃え盛る炎の中で、何も知らずにパイプオルガンの響きと、バイオリンの音色と、甘美な歌声に酔いしれているのだろう。
 コナンがいないことを、少し気にしながら。
 いや。その辺は、灰原あたりが適当に誤魔化してくれているかもしれない。そうであってほしい。
 何も知らずに、恐怖や不安を感じずに済むのであれば、それでいい。
「・・・蘭さんのことが心配?」
 先ほどまでは饒舌に犯人を推理していたのに、突然、黙り込んだオレに佐藤刑事が笑いかけてきた。推理のときは小学生のコナンが言うことも誰よりも耳を傾けてくれるけれど、やはり、子供扱いだ。安心させようとしているのがわかる。
「う、うん・・・」
「大丈夫よ。警察も消防も、みんな一生懸命やってるから」
 一生懸命、精一杯。
 それ以外に言い様がないことはオレ自身が一番わかっている。
 いつもそうだ。
 危険な目にあうのは、どうして蘭なんだ?

2008.04.23 Wednesday

月の呪縛 ぷろっと

ワイズコーポレーション
 元々は柚澤と結城の2人で起こしたデザイン・設計の会社。
 (イニシャルYが2人・・・で、ワイズ)
 2人ともデザイナーだったが、経営手腕は柚澤の方があったので、柚澤が社長。
 結城は副社長という肩書になっているが、実質、建築家として現場に出ている。
 現在では、アーキテクチュアル部門と、インテリア部門(雑貨類)、ファッション部門を擁する。
 ショップ展開などもしている大きな会社になっている。
 情報システム課は普通の会社ならば外部委託するところだが、情報漏洩を防ぐために自社で。


星野 遥(ほしの はるか):ワイズコーポレーション情報システム課SE
 田舎育ちの24歳。母が未婚で自分を産んだこともあり、恋愛に否定的。
 仕事柄もあるが、足に大きな傷があるため、普段はいつもパンツスーツ。
 髪もくせっ毛なので面倒臭くて、いつも纏めている。
 母は父親のことを何も言わずに他界したが、柚澤が父親だとつきとめた。
 遥と母は似ていないので、気づかれていない。
 (履歴書の家族欄には、伯母(皐月)の名前しか書いてない)
 最近では「なんでこの会社に入社したんだろう?」と自問中。
星野 弥生(ほしの):遥の母。すでに他界。
 服飾デザイナーを目指していて、航平・悟と同じ美大だった。
 不倫の末、遥を身籠ったので、田舎へ逃げた。
柚澤 航平(ゆざわ こうへい):ワイズコーポレーション社長
 50歳。若い頃は二枚目だったのだろうと思わせるダンディさが残っている。
 月の半分は海外にいるので、日本での業務は光征に任せている。
柚澤 光征(ゆざわ みつゆき):ワイズコーポレーション専務
 社長の息子。28歳。顔立ちは父親似。
 海外で育ったので、英語とフランス語が堪能。デザイナーとしての才能があまりない。
 そのため、社長がやってる業務のサポート的な役割についている。>時期社長予定
桧村 正輝(ひむら まさき):ワイズコーポレーション秘書室長
 光征の幼馴染。「社長にずかずか物を言える」数少ない人間なので、秘書室長をしている。
結城 悟(ゆうき さとる):ワイズコーポレーション副社長、アーキテクチュアル部長兼任
 航平と大学時代からの親友。
 今でも第一線で活躍する建築家。ホールやビルなどの設計を手がけている。
結城 透(ゆうき とおる):ワイズコーポレーションファッション部のデザイナー
 25歳。悟の息子。経営とか興味なし。服飾デザイナー。



1章プロット
・臨海副都心と呼ばれる地域にある12階建のビルで働く遥。
・24時間勤務の情報システム課にいる。夜勤は3名が常駐する。
 女性社員は融通してもらえるが、遥は好んで夜勤をしている。
・ある日秘書室から呼ばれ、社長室に向かった。
・遥1人しか知らないことだが、社長は実父かもしれない。
・社長室には、息子の専務がいた。
・ほっとしつつ、変にかかわりを持ってしまったのが嫌になる。
 会いたくないと思うくせに、どうしてこの会社に入ってしまったんだろう。
・それから、何かと光征がPCをクラッシュさせるようになり、何度も呼ばれる。
 いつの間にか社長室専任になってしまっている。
 電話でも「星野さんをお願いします」と指名されてしまう。
・桧村に「私だって忙しいんです」と抗議するが、「一番わかってるし」とかはぐらかされる。
・ある晩の社長室。
 インストールが終了するのを待つ間に、んーと伸びをしてくるりと椅子を回した。
 レインボーブリッジの上に月がのぼっている。
 普段は、夜景を見ても「偽物の星を見て、何が楽しいの?」と思っているが、つい見惚れる。
・知らずに微笑んでいたのを、桧村に見られる。「なんだ、笑えるんじゃない」って。
・そんな折に、田舎の同級生からメールが来る。
 「小学校が取り壊しになるんだって」「だから、最後にみんなで見送ろうよ」みたいな。
・田舎にもあまりいい思い出がない。距離もあるので、帰るのが面倒だなと悩む。
・また社長室に呼ばれて行くと、桧村だけじゃなく、光征と透もいる。
 えっと躊躇していると、「どう? 彼女?」と値踏みされている。
・「○日は空いてる?」「は?」「だから、○日」「うちのパーティがあるんだよね」
 「透がドレスアップしてくれるから、行かない?」「冗談はやめてください」
 「冗談じゃなくて」「本気なら、もっとやめてください」
・言われた日が、ちょうど「帰ってきて」と言われた日だと思い出し、「用事があります」と断る。
・「え? 何? デート?」「・・・実家に帰るんです」
 「へぇ? 実家ってどこ?」「お土産よろしくー!」
 これで帰らざるをえなくなった。
・もちろん、東京では全国の名品が買えるのだから、誤魔化すことはできるだろうけれど。
 この人たちなら、簡単に見破りそうだ。
・結局、実家に戻ることにした。

2章プロット
・遥が育ったのは、山合の小さな小学校。市町村合併の折に、隣の小学校と合併することとなり、
 遥たちが最後の卒業生となった。下級生もいたが、彼らは合併後の小学校での卒業。
・久しぶりに降り立った駅は、前にも増して小さくなったような気がする。
 自分が都会での生活に慣れてしまったせいだろうか。
・友人が迎えに来てくれていて、そのまま彼女の家に向かう。
 遥が育った伯母の家も、今ではこの町にはない。
・高校はそれぞれ違っているが、町内で顔をあわせることはあった。バスとか電車とか。
 だが、高校卒業と同時に遥は東京へ行き、それから一度も帰郷しなかったから、数年ぶりに6人が揃う。

2008.04.22 Tuesday

月の呪縛

 部屋に入って最初に目に付いたのは、窓の外に見えるレインボーブリッジだった。
 そういえば、近いんだっけ。
 東京湾を埋め立てた土地に立てられた地上二十階建のビル。夜ともなるとどの方角を見ても地上に散りばめられた光が眩しく輝いている。夜景を背に机に座っていた男が立ち上がった。
「ああ、星野君。いつもすまないね」
「いいえ。しばらくお借りします」
「うん。コーヒーでも淹れてこよう。星野君も飲むだろう?」
「ありがとうございます。いただきます」
 隣接する秘書室に向かう男の背を見送って、星野はキーボードを叩きはじめた。
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