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2008.04.24 Thursday

■He's not there.

 どうして、いつも。
 オレはそこにいないんだろう。

 一番大切なものを。
 この手で、守りたいのに。



 佐藤刑事と高木刑事が乗り込んだヘリが、貯水ダムの上空へとやってきた。
 助かったと安堵すると同時に、もう一人、助けなければならない人のことを想った。
 燃え盛る炎の中で、何も知らずにパイプオルガンの響きと、バイオリンの音色と、甘美な歌声に酔いしれているのだろう。
 コナンがいないことを、少し気にしながら。
 いや。その辺は、灰原あたりが適当に誤魔化してくれているかもしれない。そうであってほしい。
 何も知らずに、恐怖や不安を感じずに済むのであれば、それでいい。
「・・・蘭さんのことが心配?」
 先ほどまでは饒舌に犯人を推理していたのに、突然、黙り込んだオレに佐藤刑事が笑いかけてきた。推理のときは小学生のコナンが言うことも誰よりも耳を傾けてくれるけれど、やはり、子供扱いだ。安心させようとしているのがわかる。
「う、うん・・・」
「大丈夫よ。警察も消防も、みんな一生懸命やってるから」
 一生懸命、精一杯。
 それ以外に言い様がないことはオレ自身が一番わかっている。
 いつもそうだ。
 危険な目にあうのは、どうして蘭なんだ?

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