2007.12.11 Tuesday

拍手の続き・・・?

 エリートかぁ・・・。
 柴崎の言葉のせいで、ついつい篤さんの言動が気になるようになった。
 図書特殊部隊は、総勢五十名前後で構成されており、四・五人の小班にわけられている。通常の哨戒業務や訓練などはこの班毎にローテーションが組まれている。大規模な出動があれば、所謂『適材適所』で班に関係なく割り振られる。
 十数名いる班長の中でも、確かに篤さんは一番若い。それ故、隊長の使いっぱしりのような仕事もさせられるが、どちらかというと隊長直属の遊撃隊のような扱いで、隊長の右腕と称されたりもしている。元々、自衛隊や警察のように階級や年齢による上下関係は厳しくない。隊長クラスも階級の違いはあるけれど横一列のように扱われている。普段は隊長に暴言を吐いたりもしているけれど、その実、きっちりと上下関係はわきまえている。
 今まで、自分のことと班内のことだけで、手一杯だった。隊長の遊び心で放り込まれたようなものだから、他の事など目もくれずにやってきて、ようやく他班との連携だとか、隊全体を見渡せるようになってきた。
 そうやって見て、ようやくわかる。
「・・・堂上教官って、みんなに遊ばれてる?」
「お前が言うな、お前がっ!」
 一番遊ばれているのはお前だと、噛み付かれてしまった。
 まぁ、『王子様』発言で、自分が散々遊ばれていることは自覚している。
「笠原さん、あれは、可愛がられてるって言うんだよ」
「小牧! いらんこと言うなっ!」
「なるほどー」
「お前も納得するなっ!」
「昔ね、もっと面白いことがあったんだよ」
「小牧ーっ!!」
 噛み付いてくる篤さんを放っておいて、あたしは小牧教官から篤さんの羞恥ネタを披露してもらって、大爆笑した。

2007.12.08 Saturday

今週のマッチョイ(2007/12/08)

「冠婚葬祭」中島京子。連載短編。

漫画:「神の雫」ワインが主人公のお話。

2007.12.07 Friday

堂郁いちゃらぶ?

 図書隊員の独身寮は、女子寮と男子寮にわかれている。
 名目上は、女子寮は男子禁制で、男子寮は女子禁制だ。そうは言っても、郁も何度も男子寮の主に堂上の部屋へは入っていた。
 同じ班員として、秘密裏に打合せをすることが多かったし、図書特殊部隊唯一の女子隊員である郁が、「集合」と言われればこそこそと出向いていかなければいけないのも必然だった。
 だが、そのときは小牧や手塚といった同班の面々がいたし、玄田や柴崎が一緒だったりもした。
 だから、堂上の部屋で、二人っきりという状況は初めてかもしれない、と郁は固くなった。
 明日は堂上班は休みだ。二人ででかけようという話をしていて、今はその予定を決めている。
「で? 調べてきたのか?」
「あ、はい」
 以前、車搭載のナビゲーションシステムにおろおろとしてしまったように、郁はどうも地図が苦手だ。紙の地図を見ていても、移動するごとについつい地図を回してしまって、いつも周囲に笑われていた。奥多摩の訓練施設で地図とコンパスを渡されて、山中を歩いた。あのときは、地図とコンパスが必要になるような任務が図書隊にあるのか、と疑問に思ったものだ。だが、現に大阪まで決死のドライブを敢行することになってしまった。
 それからというもの、何かにつけて堂上は郁を試すようなことをする。どこかへ行きたいと言ったら、そこまでの移動方法や移動時間などを調べさせる。デートなんだから、普通に楽しませてくれればいいのに・・・。デート中まで『教官』なんだから。
 堂上も郁も、それぞれ運転免許は取得しているが、自分の車は持っていない。だからデートも公共機関を使うことになる。郁は行きたいと言った場所までの移動方法をメモした紙を堂上の前に差し出した。
 ふむふむと恋人ではなく上官の顔で、チェックしている堂上に恨みがましい視線を送る。
「よし、OKだ。じゃあ、明日は十時に駅だな」
「はい!」
 元気よく返事をすると、ふっと堂上も表情を和らげた。
 どきどき見せてくれる、この柔らかな笑顔がたまらない。
 悩殺される・・・と、慌てて視線をそらし、「じゃあ」と立ち上がろうとした。
「もう少し、いいだろう」
 腕を引っ張られて、がくんとバランスを崩す。さっきまでは少し離れて座っていたのに、いつのまにかすぐ隣に引き寄せられていた。
 ち、近い・・・。
 所謂『恋人同士の距離』なのだろうが、免疫の少ない郁には沸騰ものだ。うわー、こんなどきどきしてるの気づかれた、また笑われるっ。
 がちがちに力が入っているのが分かったのだろう、堂上はぷっと吹き出してから、郁の手を離した。
「男経験がないってのが、ばればれだな」
「ほ、ほっといてください!」
 突かれれば突かれるほど、反発してしまう。
「心配すんな。隣だって空き部屋じゃないんだし。こんなところで襲えるか」
「・・・襲うつもりだったってことですか」
「そりゃあ、男だからな。んでもって、お前は女だし」
 ちょっと膨らみが足らんがなーと、物でも触るように胸を撫でられた。
 キャーッと大声を出しそうになったが、寸でのところで堂上の手に口を塞がれた。
「バカが。男子寮で騒ぐな」
 心底焦った声で言われ、郁もその事実を再認識する。そうだった。一応、女子禁制の場所に踏み込んでいるんだった。
「頼むから、もうちょっと男心をわかれ」
「やたらと触りまくるエロ教官のことなんか、わかりたくありません」

2007.12.03 Monday

独立不撓(どくりつふとう)

自分の力だけでやりぬくこと。「不撓」は困難に負けないさま。
どのような困難に遭遇しても、屈することなく自分の力で、自分の意志によって、目標を達成するさま。


その昔、「図書館」と言えば、静かでのんびりとした公共施設だった。
キッズコーナーで遊ぶ子供の声をBGMに、午後の木漏れ日の中で昼寝をする・・・そんな長閑な風景があった。
だが。それは、もう遠い昔。
メディア良化法の施行以来、図書館は日本国内で最も危険度の高い場所となっていた。
特に成化11年の「日野の悪夢」と呼ばれる、日野図書館の襲撃では司書にも死者が出たため、警察や自衛隊よりも危険な仕事だと言われるようになった。
小牧が通う図書大学は、そういった背景の中で設立された大学だった。
人員不足を補うため、卒業後の進路を約束するとともに、本来ならば図書隊入隊後に行われる専門教育を在学中から徹底的に叩き込まれる。学年がすすめば、OJTで図書館での実習も行われることになっている。
本好きだった小牧が、その道を選んだことはごく自然なことだった。

大学内では、司書志望者と、図書隊志望者がはっきりと線分けされたように、二分されていた。
もちろん、図書館員志望であっても、基礎訓練の授業は必須となっている。また逆に、図書隊志望者も座学と呼ばれる講義を受けなければならない。成績は一方に偏りが出るのが普通である。
そんな中、その両方に秀でた者の存在は、学生達の間でも目立つようになってくる。
「チビで悪かったな!」
道場に

2007.12.01 Saturday

今週のマッチョイ(2007/12/01)

椰月美智子「しずかな日々」(野間児童文芸賞受賞作品)
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