2008.07.24 Thursday

無意識な恋お題

指摘されて気付く
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2008.07.24 Thursday

良時

書こうとしたものと、論点がずれたけど。
これはこれで。時→良かなと。いつか使えたらいいな。
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2008.06.23 Monday

ほしことば(1/1)

星言葉(1/1心が穏やかな楽天家)
「式神」より良時
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2007.03.05 Monday

余命宣言

■余命宣告「ごめんなさい。そろそろ限界です」
(時音ちゃん視点で)
01:余命1ヶ月
入院した時音のところに、良守が顔を出す。
時音は余命3ヶ月と告知を受けていた。元気に振舞っているけれど、良守に「嘘つけ」と気付かれる。
「・・・あと3ヶ月しか生きられないんだって」と、良守に話す。
祖母は、雪村の血が途絶えることに不安を隠しきれないし。
母は、取り乱しつつも受け入れている。
そんな2人には見せられない、時音の本音。
「強がんな」そういって、泣かせてくれた。

02:今、わたしのしたいこと
抗がん剤を投与しているので、自慢の黒髪が抜けていく。
自分が確実に死に向かっているのだと実感させられる。
本当に3ヶ月しか生きられないのだとしたら。
「やりたいことがあるの」
普通の女の子みたいに。旅行とかしてみたい。

03:傍に居てなんていえるわけがない
「つきあってやるよ」
良守は時音のわがままを聞いてくれた。
守っているつもりが、いつの間にか守られていた。
良守の気持ちは、それとなく気付いている。そこにつけこむなんてずるい女ね。
甘えている。傍に居てなんていえるわけがない。

04:ごめんなさい
このまま自分が消えるんだったら。良守に期待を持たせるようなことをしちゃいけない。
そんなことをしたら、この先、良守の人生を狂わせてしまう。
私のことなんて忘れて、前を向いて歩いていってほしい。

05:「死んだら天国に行くのかな? 地獄に行くのかな?」
2人で海に来た。海まではそんなに遠くないのに。何年ぶりだろう。
海水浴という季節でもないし。浜辺に座って、海を眺める。
結界師なんて仕事をしてきたけれど、結局のところ「死後」のことなんてわからない。
「霊」になって、烏森に彷徨い出ていたら、笑ってね、なんて。冗談にもならない。
でも。良守に滅されるのなら、それもいいのかな。

06:せめて天使になりたいな
「くだらねーこと言ってんじゃねーよ」と、一蹴される。
結界師が滅した霊は、闇の世界へと送られると聞いている。
「そんなところに時音を送れるかよ。成仏しねーと、承知しないからな」
「・・・そうだね」

07:涙は枯れたみたいだよ
悲しいという感覚が麻痺してしまっているのかもしれない。
どれくらい泣いたんだろう。
毎晩、毎晩。眠れぬ夜を過ごして。何度も涙で枕を濡らした。
良守は、そんな絶妙なタイミングで病室に来て。何度も涙を拭ってくれた。
泣き虫だった良守が。涙を見せずに。
「時音が、俺の分まで泣いたから、俺の涙は枯れたのかもしれない」

08:今更、涙を流したって
「・・・生きたい。私、もっと生きたいよ」
こんなことになるなら。あれも、これも。もっと、やりたかったことがある。
やっておかなければならなかったことがある。
今更、遅いのはわかっているけど。悔しい。

09:最後のお願い、きいてくれる?
容体が急変する。救急車を呼ぼうとした良守の手を止める。
「最後のお願い、きいてくれる?」
「願い事くらい、いくつだった叶えてやる。最後なんて言うな!」
「・・・キスして」
良守の腕の中で、息を引き取る。

10:さよなら、お元気で
ふわりと、魂が抜け出る。
大泣きしている良守が、そこにいる。
やだな。そんなに泣かないで。
沢山、やりのこしたことはあるけれど。確かに、私は幸せだったんだから。
ありがとう。ずっとそばにいてくれて。
ありがとう。こんな私を愛してくれて。



■死んだ彼女へ「もう振り返らない」
(よっしー視点で)
01:さよならから、何日たった?
夜の烏森。右に斑尾、左に白尾。2匹従えて、ぼんやりと座っている。
「そんなんじゃ、ハニーが安心して休めないだろ?」白尾が叱咤するけど、「んー」と気のない返事。
あれから、何日経ったんだろう?
もう、時間の感覚も、生きているという感覚さえない。

02:君の時間は止まってしまったけれど
リュックの中に、忍ばせている時音の写真。
時折、こっそりと眺めている。
もう、動くことはない時音の時間。
でも、自分達の時間は動いていて、どんどん時音と離れていく気がする。

03:たまに行くお墓にある花
裏山にある墓地に、雪村家・墨村家ともに、代々の墓がある。
時夫の名前の隣に刻まれた「時音」の名前。
ここにしか、時音が生きていたんだと言う証拠がないような気がして、指でなぞってみる。
良守は辛くて、何度かしか来たことがないが。いつも必ず花が添えられている。

04:「わたしが死んだら、お墓の前で宴会してください」
「墓前で泣いたりなんてしないでよ。多分、私はそこになんかいないから」
遺骨は納められているけれど、時音の魂は、一体、どこにあるんだろう?
成仏するって、どういうことなんだろう?
誰か、その答えを知っているんだろうか?

05:笑った彼女が見えた気がした
「良守!」
幻だとわかっている。それでも、目の前に現われた時音に、口元が綻ぶ。

06:何時でも添える花は君の好きだった花
時音=百合というイメージがついている。
大量に買うことはできないけど。1本だけなら良守にも買える値段。
キレイにリボンをかけてもらって。墓前に添えた。

07:涙を流すと、決まって風が吹く
泣いてもしょうがないことは、わかっているけれど。
二度と会えないんだと思うと、じんわりと涙が滲んでくる。
ふわりと風が吹いて、優しく頬を撫でていく。
「しゃきっとしなさいよ!」
なぜだろう。時音の声が聞こえた気がした。
なぁ、俺も、そこへ連れてってくれよ。
「バカ、何考えてんのよ。ここはあんたがくる世界じゃないわ」

08:今、何処かで、君は笑ってますか
死んでまで、俺を怒るのかよ。


09:天国があるとすれば
10:君は何時までも笑ってますように

結界師でやろうかなー。
でも「どす黒」なんでどうするか悩みです。
死ネタなので、ブログには載せずにサイトオンリーにするとか。
追記
すべてが白かった。
病室のベッドもカーテンも天井や壁さえも。時音が着ている病院着も。
そんな中で、良守の着ている墨村家の結界師の装束だけが、やけに黒さを強調していた。
「帰って寝なくていいの?」
「・・・時音の顔を見てからと思って」
「ありがとう。・・・どう? 烏森は?」
「相変わらず・・・だよ」
「そう・・・」
明け方の病室。本来ならば面会時間ですらない。だが、日中は学校へ行かなければならないし、夕方は時音の祖母・時子の目があるので、なんとなく病室を訪れるのが憚られた。よって、人目を忍んで寝静まった病院に来ていた。
さすがに天穴は隠してある。ほんのひと時でもいいから、時音の顔が見たくて。毎日、夜の烏森から帰る途中で、病院に寄っていた。ナースステーションの前を通るわけにもいかないので、窓からこっそりと忍び込んでいる。まるで泥棒だ。
それでも、時音はいつもなら起きている時間ということもあって、文句も言わずに良守を室内に招きいれてくれた。

2007.02.09 Friday

君と見る蒼空 01

「時音、お前に話したいことが、沢山あるんだ」





明け方から降り始めた雨は、午後になって更に強さを増していた。
風も強くなってきたようで、教室の窓を叩く音が煩く感じるようになってきた。
「台風が来ているという話だ。お前等、寄り道しないでさっさと帰れよ」
終業のショートホームで、担任が声をかける。外の様子を見る限り、寄り道しようという気持ちを削がせるには十分な勢いの雨足だ。さようならの挨拶の後は、生徒達は疎らに廊下へと出て行った。
部活動に参加している者は、雨だろうが部活はある。警報が出ているとか言うのであれば、強制的に中止になるけれど。まだ、そこまでは行かないらしい。「中止にならないかなぁ」と、嘆きの言葉もちらほらと聞こえてくる。
良守は荷物を全てリュックに放り込むと、ガタンと席を立った。そのまま廊下に出て玄関へと向かう。
「墨村ー? 帰るのかー?」
この声は市ヶ谷の声か。聞こえてはいたけれど、返事をする気分にもなれず。良守はそのまま歩き続ける。
廊下の角を曲がって、姿が見えなくなってしまったので、市ヶ谷も諦めて教室内に戻ろうとした。方向転換すると、そこに神田が立っていた。中等部の二年、三年と良守や市ヶ谷と同じクラスだったけれど、高等部になってクラスが別れてしまった。二年になった時も、結局、隣のクラスだった。それでも、時折、良守と話している姿を見るような気がしていたが。
「行っちゃったね、墨村君」
「まぁ、あいつは元々、授業が終わったら、すっ飛んで帰ってたからな」
「バイトでもしてんじゃないの?」
廊下で立ち話をしていると、そこに田端も加わる。データバンク・田端を持ってしても、良守は謎の存在らしい。
「あいつ、ほとんど寝てるからなぁ・・・。会話に参加しないし」
神田は良守のことに関して、ひとつだけ秘密を知っている。それは、誰にも言わないと約束したことだし、言ったところで信じてもらえないことだということも理解している。田端のバイトという言葉に、ふとそんな秘密の裏稼業のことを思った。結界師のお仕事、忙しいのかな?
「確かにな。学校に来たとたんに寝て、終わったらさっさと帰っちまう。あいつ、学校に寝に来てんだろ」
「だから、怪しい夜のバイトしてるんだって」
「・・・でも、最近、更におかしくなったと思わないか?」
「そうか? 眠そうだな・・・ってくらいだけど」
何かが違う。それは、神田も感じていたこと。
学校の立っているこの地を守るために、夜毎、妖退治をしている。だから、昼間に眠そうなのは前からだけれども・・・。
「・・・あ、そうか」
「ん? 何か思い当たる節でもある?」
「っていうか。ずっと、前までと違うなって思ってたんだけど。何が違うかわからなかったんだけど。やっとわかった。墨村君、笑わなくなったんだ・・・」
以前、神田が相談した時。心配しなくていいよと、ぎこちないながらも笑いかけてくれたのに。
今は、誰が何を言っても、うんとか、ああとか返事するだけで。表情がないのだ。
一人で納得している神田に、市ヶ谷と田端は視線を交し合う。以前から神田が良守に恋しているという噂があったけれど、全く出鱈目ではないのかもしれない。女の子らしい発想というか。恋する相手だからこそ気付いたことなのか。
思わず、意味深な視線を送ってしまう、二人だった。


校門を出た良守は、家とは逆方向へと歩き出した。
ここ数ヶ月、毎日決まったコースだ。迷うことはなかったが、足取りが重いのは雨と強風のせいだけではなかった。
行ったところで、何も出来ない。でも、行かずにはいられない。相反する思いが、一歩一歩を鈍らせる。それでも、向かい風を押し切って、良守は歩いていた。

2007.02.08 Thursday

君と見る蒼空

「君に話したいことが、沢山あるんだ」

「ほしのこえ」ちっくに。まさよしあんちゃんの曲で。
烏森もまぁ、ウロ様みたいなもんなんだよね?
ってことで。
烏森を封印した時。時音が一度、閉じ込められる。
良守が無理矢理、中に入って助け出した。
でも、心を奪われてしまった。
怪我もないけれど、意識が戻らない(眠り姫状態?)
17・19かな?
悲しい話・・・というよりは。
あんなこと、こんなことあったよね?みたいな。
枕元で眠る時音に向かって、思い出話&「今日はこんなことが」って報告。
最後に時音が目覚めて終わる。。。。べただな。


「君に話したいことが、沢山あるんだ」

良守(高2になったばかり)
今も授業中は寝ていることが多い。
授業が終わったら、すっと立ち上がって教室を出て行く。
部活をするでもなく。特に誰かと交わろうともせず。そのまま学校から出て行く。
神田(今は別クラス)が去っていく良守も見ている。
「墨村君ちって、逆方向じゃなかったっけ?」
「そういえば、朝は向こうから来るよな」(市ヶ谷君)
「・・・どこ行ってるんだろう?」
「バイトでもやってんじゃない? いつも眠そうだし」
結界師のお仕事かなぁ・・・?と、ゆいなちゃんは思ってる。

良守は病院に行く。
病室のドアを開けると、時音の母がいる。
「おばさん、交代しますよ。休んでください」
「いつもありがとう」
枕元に座って。「ただいま」って語りかける。


半年ほど前。16・18の時。
時音の大学受験までにはと、烏森の再封印を試みた。
ウロ様の時のような、結界を張るために。
良守1人ではなく、時音と2人、地下の異空間に入った。(地上には繁じいと時子)
封印を完成させて。「あんたの方が力の消耗が激しいんだから。先に出なさい」と、時音に押された。
そのせいで、時音が出ないうちに入口が閉じそうになる。
時音は中で彷徨ってしまった。
良守が無理矢理中に入って、時音を助けた。
けれど、時音の心が戻らなかった。
受験を、卒業を目の前にして。時音は永遠の回廊に迷い込んだ。

本人不在のまま、時音は卒業することになった。もちろん、受験は保留。
卒業式を前にして、良守は知らない女子生徒に呼び止められる。
「あなた、確か図書館で雪村さんとよく話してたわよね?」
「あ、ああ・・・。家が、隣だから」
「彼女、入院したって聞いてるんだけど。図書館の本を貸し出したままなの。
 ご家族の方とかに、話してみてもらえないかな? 一応、学校のものだし・・・」
「・・・わかった。おばさんに言っとく」
初めて入った時音の部屋。
図書館で1度に借りれるのは、5冊。MAXまで借りている。
本当はもっと勉強したかったんだろうに。本棚に並んだ様々な本と。受験のための参考書。
どうして、時音なんだ?
あの時、どうして時音を先に出してやらなかったんだろう。
烏森が正統継承者を呼ぶことくらい、俺が1番わかっていたはずなのに。

完全看護だから、付き添いはいらないけれど。
やはり、時音が目覚めた時に、誰かがいてやりたいという思いから。
日中は母親がいるけど、彼女1人に無理をさせるわけにもいかない。
もう夜に烏森に行かなくてもいいし。良守は夜はずっと、時音に付き添った。
朝になると、1度家に寄ってから、学校へ行っている。
そっと時音の手を取って、ぎゅっと握ったまま夜を明かす。
あの日から、良守はほとんど眠っていない。眠れるはずがない。
浅い眠りと覚醒を繰り返しているだけ。

ある夜、正守が様子を見に来る。
「時音ちゃん、どう?」「・・・変わんない」「そうか・・・」
「あんまり、根を詰めるなよ。お前まで倒れちゃ、時音ちゃん悲しむよ」

「・・・時音をもう1度、烏森に連れてったら、どうだろう?」>最後の手段?
「お前・・・。それは、いくら何でも無謀だろう?」
「でも、時音の心は、今もあそこにある気がするんだ」

2007.02.07 Wednesday

背中合わせ01「誰にもいえない」

誰にも言えない恋をした。

別に咎を受けるような恋じゃない。
ただ、誰に言っても信じてもらえないような相手だから。
文武両道、才色兼備、容姿端麗、品行方正、etc。
ありとあらゆる褒め言葉を並べ立てたような人。
それが、雪村時音だ。
私立烏森学園高等部三年。学年トップの成績で、どんなスポーツもそつなくこなす。長い髪をポニーテールに纏めて、颯爽と廊下を歩く様を見れば、学園中の誰もが振り返る。かといって、それらをひけらかすでもなく、あくまでも自然体で、誰にでも優しい。
平成のナイチンゲールと称したヤツもいたっけか。
それに比べて。授業中は寝てばかりで、テストは赤点スレスレ。得意な教科は体育と美術という、どうしようもない自分。テレビに出るような二枚目というわけでもなく。取り柄なんて、何もない。多分、学園内でも一番目立たない。
それが、俺。墨村良守だ。
二人が恋人同士だなんて言って、誰が信じるって言うんだ?
笑われるのがいいとこ。妄想だって言われるのがオチだ。
だから、誰にも言わない。誰にも教えてなんかやらない。

他にも言えない理由がある。
それは、あまりにも理不尽な理由で。しかも、良守自身にはどうすることも出来ない。
良守の家と、時音の家。つまりは、墨村家と雪村家。この両家には長きに渡る確執がある。現代版『ロミオとジュリエット』を地で行ける関係だ。
墨村家と雪村家は、同じ間流結界術を継承する家柄だ。この結界術というものがまた、一般人には言えない稼業だ。
携帯電話とかインターネットとか。IT産業真っ盛りの現代に、幽霊や妖怪が存在することを知る人間は少ない。そして、その妖を退治する術者が存在するなんて。この事実だって、誰も信じないことだろう。
同じ流派でありながら、正統性を巡って四百年も敵対しているというから、お笑いものだ。それでいて、開祖から賜った隣同士の土地で、四百年も『お隣さん』を続けてきているのだから。本当に敵対しているのか、敵対するフリをしているだけなのか。本当のところ、よくわからない関係だ。
両家が任されているのは、二人が通う学校が立つ地・烏森を守ること。
烏森はそこに集まる妖達に力を与える。故に夜毎、様々な妖が力を求めて吸い寄せられてくる。それを退治するのが良守と時音の仕事だった。
数々の修羅場を共に乗り越えてきた戦友でもある。
死と隣り合わせの日々。時音の腕に残る傷、良守の全身にも小さな傷痕が無数に残っている。そして、本当にこの地で命を落とした友もいる。
互いがいたからこそ、今、ここにいる。
秘密を共有することで、慰め合っているだけなのかもしれない。互いの傷を舐め合うように身体を寄せ合っているだけなのかもしれない。心の空白を埋めるために互いを求めた。
不器用な愛だ。幼い恋だ。
心に蟠る想いを、どうやって伝えたらいいのかもわからなくて。足りない言葉を補うように、また抱き締める。
もう後戻りはできない。

誰にも言えない恋でも。俺と時音の二人だけは知っている。
後悔はしたくないから。
何も出来ない自分を嘆くのは、後でいい。今は目の前の事実から逃げ出さない。


ふーっと溜息をついて、定位置となっている中等部校舎の屋上、更にその昇降口の上に寝転んだ。
今宵はまだ、烏森に妖の気配はなかった。そして、時音の姿もない。いつもならば、良守よりも先に来て、ぐるりと見回りを終えているのに。まあ、いいか。妖もいないんだし。気配を感じてからでも遅くない。
「まったく。まだ寝るのかい?」
「うっせーな。眠いんだからしょうがねーだろ」
口煩い妖犬・斑尾がふわふわと浮かんでいる。一応は、こいつも妖だけれども。首に巻いた封印のおかげで、今は墨村家付の妖犬として、結界師の仕事を助けている。女言葉を使っているけれど、れっきとしたオスだ。開祖・間時守に一目惚れしたとかで、恥ずかしげもなくオカマ犬になったらしい。
いつも、良守には手厳しくて。噛み付かれたことも度々だ。
妖は夜にならないと動き出さない。故に結界師も夜の住人になっている。まだ学生である良守にはキツイ仕事でもある。万年寝不足で、授業中に寝てしまうこともしばしば。時間が取れれば、五分でも寝たいところだ。
「良守っ!」
うとうととし始めていた所を呼ばれてしまった。
これが斑尾の呼ぶ声ならば、何度かは無視してやるところなのだが、時音の声とあってはそうもいかない。
上半身だけ起こして、声のする方を見た。
「・・・はよ」
「何が、おはようよ。今は夜!」
「目覚めた時の挨拶は、おはようと決まってんだよ」
階段を上りきらない状態で、胸から上だけが見えている。
「サボってないで、降りてきな。見回り行くよ」
「へいへい・・・」
これが恋人同士の会話だろうか?
そんな風に思わないこともないけれど。夜の烏森では、二人は結界師である。
「んーっ」
思いっきり身体を伸ばしながら、時音の後に続いた。
「ほら、これでも飲んでシャッキリしなさい」
ぽんと放られたのは、良守の好きなコーヒー牛乳。・・・かと思ったが、チルドカップのカフェオレだった。しかも、無糖。
「・・・・・」
確かに目は覚めるだろうけれど。
「時音、俺に喧嘩売ってる?」
「いい加減、甘いのやめた方がいいわよ?」
「うるせー! 俺はコーヒー牛乳が好きなんだよ」
「だから、それがカフェオレじゃない」
「砂糖が重要なんだよ、砂糖が!」
「・・・お子様」
そう、これ。これが嫌なんだよな。
二歳の年の差はどうしたって埋まらない。飛び越えて年上になることなんて出来ないのに。こうやって年下扱いするんだ。
「違うって! 砂糖は重要なエネルギー源なんだよ!」
「あんたさぁ・・・。今はまだ上に伸びてるからいいけど。そのうち、横に広がるわよ?」

2007.02.06 Tuesday

背中合わせの夜 プロット

■背徳プロット「背中合わせの夜」
私たちは、同じ罪を背負った咎人。「背徳」という名の甘美な蜜に酔いしれる、この世で最も幸せな罪人。

01.誰にも言えない(良)
誰にも言えない恋をした。
お隣さんで、幼馴染で、同業者で。数々の修羅場を共に乗り越えてきた戦友だ。
傷を舐めあっているだけなのかもしれない。
でも。死と隣り合わせの日々の中で。互いがいたから、今、ここにいることができている。
秘密を共有することで、慰めあっているだけなのかもしれないけれど。

02.恋人同士の逢瀬は、ほんの僅かな時間だけ(時)
学校帰り。突然降りだした雨に、近くのバス停の待合室に逃げ込んだ。
ハンカチで雨を拭っていると。「うわーっ! つめてー!」突然、良守が駆け込んできた。
待合室とは言っても、小さな屋根があるだけの建物。木造のベンチは二人並んで座れば、窮屈なくらい。
立ったままの良守にハンカチを差し出す。「風邪ひくわよ?」「・・・いらね」
学校では話しかけるなと言っているせいか。良守はじっと外を見つめたまま。
恋人と呼べる関係であるはずなのに。甘酸っぱさとは無縁の関係。
「・・・雨、止まないね」気まずくて、つい、声をかけてしまう。
けど。良守は雨足が弱まったのを見て、「俺、先行く」と駆け出して行ってしまう。

03.モラルに逆らうというリスク(良)
なんだよ、時音のヤツ。俺が学校で話しかけたって、無視するくせに。
雨に濡れた色っぽい状態で。こっちの我慢にも限度がある。
あのまま一緒になんていたら、人目を憚らずに襲っちまう。
夜の烏森学園。さすがに、会話をせずに済ますわけには行かない。
「良守、来たよ」「わかってる」あくまでも冷静な態度を崩さない。
それが悔しくて。仕事が終わった後、帰ろうとする時音を捕まえる。

04.ばれてはいけない(時)
学校の裏庭。木にもたれて抱き締められる。
「やっぱり、無理があるわよ」「関係ねーよ」両家の確執は、思いの他、根が深い。
繁守と時子も昔はもっと仲が良かったという話だけれども。
良守や時音に知らされていない、烏森の秘密と何か関係があるのだろうか?
越えてはいけない一線が、そこにあるのだろうか?

05.自分のものだと言えたら(良)
食堂で、向こうに時音が座る。どんなに距離があっても、視線の端に入ってくればわかる。
同じように田端が時音を見つけて騒ぐ。
「やっぱ、キレイだよなぁ・・・」好きという感じではなくて。高嶺の花に憧れているという感じ。
それでも、やはり良守は面白くない。
この場で。大声で「時音は俺の彼女なんだからな!」と叫ぶことが出来たらいいのに。

06.公衆の、無責任な言葉の針(時)
どうしても良守に話さなければならないことがあって、昼間の学校で声をかけて屋上に連れ出した。
(妖関連のこと。夜まで待てなかった)
それを見た男子生徒達が、中傷の言葉を良守にぶつける。
突然現れた、冴えない少年に、「何者だ」とか。良守は気にしていない風だけれども。時音の方が傷ついてしまう。

07.理解者(良)
たまに顔を出すだけの正守なのに。一瞬で、気付かれてしまった。
「満願成就したってわけだ」「別にそういうわけじゃ・・・」想いは通じたけれど。問題が多すぎる。
「おじいさん達は色々言うだろうけど。いいんじゃない? どうせ、もう、壊れてんだし」>また意味深な。
「・・・兄貴は不謹慎だって思う?」烏森のことが解決したわけでもないのに。色恋沙汰なんて。

08.いつか飽きられるかもしれないけれど(時)
日曜日。良守に呼び出される。電車で1時間ほど離れた街へ。
ここは大きな街だから、多分、知り合いにも会わないだろう。普通の恋人のように手を繋いで、並んで歩く。
中学三年生の頃から身長も伸びて。男らしくなった。子供っぽかった顔も随分と大人びた。
時々思う。自分は良守には不釣合いなんじゃないかと。
幼い頃から、一番近くにいたという理由だけで。恋をしていると思い込んでいるだけじゃないのかと。
いつの日か、広い世界に飛び出していって。本当の恋をするんじゃないかと。
眠る良守の背中の傷を手で撫でて。込み上げてくる不安をそっと隠した。
モノクロに暮れ行く外の景色。もう、帰らなくては。

09.逃がすものか(良)
このところ、時音がよそよそしい。避けられているのか。嫌われているのか。
強引過ぎるのは、自他共に認めるところだけれど。それだけが原因なのだろうか?
わかれて見回っていた時、強大な妖気を感じた。・・・これは。時音のいる方向じゃねーか。
校舎をぐるりと回ると、防戦一方になっている時音がいる。
アイツの結界じゃ、そうはもたない。「結っ!」さらに大きく囲んでから。
時音と妖の間合いに割り込む。火黒に比べたら、どんな妖も遅く感じる。
「そんな程度じゃ、正統継承者はやれないぜ?」
挑発して。ターゲットを自分に向ける。そのまま、時音から離れて危害が及ばないようにする。その上で、滅する。

10.好きです、何があっても。(時)
腕を怪我している良守を手当てする。
バカ。無茶したら承知しないって言ったじゃない。それなのに、結局これ?
成長してないんだから。
大事にしてくれるのは、嬉しい。
戦いの時。背中を預けられる人。必ず後ろにいて。力強く守ってくれる人。
バカだけど。純粋で。直向きで。誰よりも、透明な。
ああ、もう。認めるわよ。良守が好きよ。

2007.02.05 Monday

背徳の恋で10のお題

01.誰にも言えない(良)
02.恋人同士の逢瀬は、ほんの僅かな時間だけ(時)
03.モラルに逆らうというリスク(良)
04.ばれてはいけない(時)
05.自分のものだと言えたら(良)
06.公衆の、無責任な言葉の針(時)
07.理解者(良)
08.いつか飽きられるかもしれないけれど(時)
09.逃がすものか(良)
10.好きです、何があっても。(時)

http://lonelylion.nobody.jp/ rewrite さま

2007.02.04 Sunday

誰も知らない空の彼方 プロット

烏森を封印した。(14歳・16歳の時)
強大な敵が出現する心配はなくなったけれど。烏森の地にはまだ妖が訪れる。
それを退治するために、良守達はまだ夜毎、仕事を続けていた。
(ぼんやりとお月見してたりすることのほうが多いけど)

高校3年になった時音は、大学進学に関して悩んでいた。
良守は、自分の想いを封じて。時音に「好きなように生きろよ」と言う。


01.あの日の空の色
良守(18歳)は、いつものように屋上で寝転がっていた。
見上げた空は、あの日の空に良く似ている。真っ青に、どこまでも澄んでいる。
目に焼きついている、あの空の色。
2人の別れの朝の色だ。

02.キミとボクの分岐点
(しばし、回想シーンです)
時音(18歳)が熱心に勉強していることは知っていた。
烏森を封印し、力を伸ばす必要が無くなってからは、修行よりも図書館に通っているようだ。
だから、これを伝えるのが、俺の役目。
「・・・大学、望むところに行けよ。俺と違って、時音は頭がいいんだし。何か、夢があんだろ?」
自分の想いには、折り合いをつけることが出来る。
特に夢があるわけでもないし。俺はここの地に縛られてもいい。

03.笑顔の奥に隠した本音
時音は東京の大学を受験した。発表はまだだが、きっと合格するだろう。
そして。卒業式。
「今まで、ありがとう。これからは、自分の夢に向かって頑張れよ」
笑顔で見送る。この上なく晴れ渡った空は、時音の門出を祝してくれているのだろう。

04.見上げた空は俺の心のよう
時音が東京へと旅立つ日。
泣いてしまいそうだったから、見送りには行かない。
いつまでも子ども扱いされるのも嫌だし。
その日の夜。久しぶりに1人きりの烏森。
「ちぇ・・・。雨か」雨の日は、妖もあまり行動しない。来たけど無駄足だったかな。
雨は、良守の変わりに涙を流すように、その晩、やむことはなかった。

05.消えてはくれない
あれから、もうすぐ2年が経つ。なのに、思い出は簡単には消えてはくれない。
忘れてしまうには、ここ<烏森学園>には思い出が多すぎる。

06.残酷な天使
正守から仕事を手伝って欲しいと、HELPコール。
「無理。烏森あるし」「おじいさんの許可は取ってあるから」「・・・・・」
ある高校に妖が出るので、調べて退治してほしいとの依頼。
高校なので、大人が出て行くのもなんなので、高校生である良守にお願いしたいと。
「大丈夫。閃も行くから安心して」そういう問題じゃないけど。
「わかったよ。んで? 場所は?」「東京」

07.星のない夜
東京は2度目。1度目は修学旅行だったか。夜の学校に閃と2人で潜入している。
夜なのに辺りは明るくて、喧騒も鳴り止まない。こんなとこで術を使って大丈夫なのか?
屋上に行き、周囲の様子を確かめる。烏森と違って、全てが密集している。外に出すわけには行かないな。
ふと空を見上げて。星も月も見えない。
・・・こんなところで、アイツは暮らしてるんだ・・・。

08.偶然という運命
時音が東京のどこに住んでいるのか知らない。
2年前のあの時。もう2度と会うこともないだろうと思って、連絡先も聞かなかった。
なのに。どうして。
こんなにも沢山の人がいるこの街で。俺達は出会ってしまうんだろう。

09.午前2時のお茶会
真夜中、仕事をしていると、突然、時音がやってくる。(閃もいます)
「ご苦労様。美味しいケーキ、持って来たの」
それは言い訳にすぎないことは、着込んだ装束を見ればわかる。
雪村家の白い結界師の装束。それ、東京に持ってきてたのか?
「時々、夜行のお手伝いさせてもらってるの。一応、術者ですから」
なんだ。兄貴に嵌められたのか?

10.身体中を侵食する
胸に秘めていた想いが溢れる。鍵をかけて、封印していたはずなのに。
これ以上、そばにいられない。
「・・・帰れよ」冷たく突き放すしかない。どうせ、自分は何日かすれば、烏森に戻る人間なんだから。
「仕事の邪魔して、ごめんなさい」逃げ出すように時音は帰る。
「追いかけろよ!」「いいんだよ。・・・これで、いいんだ」自分に言い聞かせる。

11.初めてのメール
(閃?正守?が、勝手に時音に良守のメールアドレスとかを教えていた)
部屋に寝転んで。ぼんやりとしているところに、メールが届く。
まだ、携帯に慣れなくて。やっと開いてみたら、時音からのメールだった。

12.気付けなかったキミの本音
昨晩のことを詫びる文章と。自分を後押ししてくれたことに対する「ありがとう」と。
そして。「離れてはじめて気付いたけれど。良守のこと、好きだった」

13.口吻ける冷たい傷痕
閃(正守?)に電話をして、時音の電話番号を聞き出す。
「・・・会いたい。今すぐ。会いたいんだよ!」マンションの場所を聞いて。全速力で駆けていく。
ドアを開けた時音をそのまま抱き締める。

14.儚い夢
妖は退治したし。その後の魔よけも施した。ここでの仕事は終わり。
もう、戻らなければならない。お互いの『現実』に。

15.未来の約束
最後にもう1度、時音に会いに行く。
「・・・大学を出たら、絶対に烏森に帰るから。それまで、待っててくれる?」
その約束があれば。どれだけだって待てる。
幼い頃からずっと好きで。この年まで待ったんだ。あと数年待ったところで、変わらないよ。

16.レールのない空へ
(エピローグ的)
良守は烏森学園を卒業して。近くのケーキ屋で働いていた。
今でも時折、学園に忍び込んでは屋上で転寝している。

青空のキャンパスに描かれる未来には、レールもルールもない。
青空の彼方には、まだ、誰も知らない無限の未来が広がっている。
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