■ ■ ■ ほしことば(1/1)
最近、烏森の様子がおかしい。
妖力を高める力が烏森にはあるらしく、それを求めて沢山の妖が寄ってくる。それを退治し、烏森の平穏を守るのが、私たち結界師の役割だ。
それ故に、烏森の変化にも気付いてはいるけれど。
だからといって、どうすればいいのかなんてわからない。
私たちが持つ『結界師』としての能力は、妖を捕らえ滅することだけ。修復の能力もあるけれど、その力で烏森をどうこうできるとは思えない。
おばあちゃんが何も言わないところをみれば、これはどうしようもないことなのかもしれない。
私たちの能力を超えた力というものだってある。
今まで、何とか乗り切ってきたけれど。この先、烏森を狙う者たちから、本当にこの地を守れるのかどうか、不安になる。
裏会からやってきた調査団は、この烏森が特殊な立地だと言った。
本来ならば、神域というものは、私たち人間が住む世界からは隔絶した場所にある。
人間と共にあるこの地は、確かに変わっているのかもしれない。
夜ならば、敷地全体にある種の結界が張られていて、人間界から切り取られたようになっているけれど。日中は敷地内に建つ烏森学園に、何百人もの生徒が通ってきている。
妖との戦闘で、校舎を壊したこともある。
あの時、中に人がいたら・・・。
ぞっと背筋が寒くなって、時音は身震いをした。
「おーっす! 時音ー!」
能天気な声で駆けてきたのは、同じ結界師の仕事をする幼馴染。
「わりぃ。遅くなって」
ひょいっとジャンプして、隣に座った良守の手には、愛飲のコーヒー牛乳の500mlの紙パック。ズズッと音を立てて、最後の一口を飲み終えた。
「ぷはーっ! やっぱ、うめーな」
満足気な笑顔に、ふーっと力が抜けていく。
「・・・あんたはお気楽でいいわねぇ・・・」
ぽつりと愚痴が零れた。
私よりも2つ年下の良守は、いつだって能天気だ。
まぁ、だからと言って頼りにならないわけではないけれど。頭で考える前に、身体が動いてしまうタイプで。力は強いけれど、考えなしの行動が眼に余る。
「何だよ、それ」
「なーんにも考えてないわよね、あんたって」
言うと、かなりムッとした顔になる。
「俺だって、色々、考えてるよ」
「へぇ? 何を?」
「・・・・・強くなる方法、とか?」
「とか?」
「・・・・・烏森を封印する方法、とか?」
「まだやる気なんだー」
「うるせー!」
くすくすと笑いながら、ムキになって喚いている良守を見た。
「まぁ、一日二日で何とかなるとは思ってねーし。それでも、夜は来るわけだから。やれることからやってくしかないじゃねーか」
すくっと立ち上がって、「見回りしてくる」と飛び降りていってしまった。
私は深刻に考えすぎなんだろうか?
底抜けのオプティミストが結局は世界を救うのかもしれない。
頼もしいところも、あるじゃない。
「白尾。私たちも行こうか」
「オッケー、ハニー」
良守が走り去った方向とは逆方向へと、私も駆け出した。
いつだって。あの楽天家に助けられている。
私の心を掬うように、いつの日か烏森のことも救ってしまうのかもしれない。
妖力を高める力が烏森にはあるらしく、それを求めて沢山の妖が寄ってくる。それを退治し、烏森の平穏を守るのが、私たち結界師の役割だ。
それ故に、烏森の変化にも気付いてはいるけれど。
だからといって、どうすればいいのかなんてわからない。
私たちが持つ『結界師』としての能力は、妖を捕らえ滅することだけ。修復の能力もあるけれど、その力で烏森をどうこうできるとは思えない。
おばあちゃんが何も言わないところをみれば、これはどうしようもないことなのかもしれない。
私たちの能力を超えた力というものだってある。
今まで、何とか乗り切ってきたけれど。この先、烏森を狙う者たちから、本当にこの地を守れるのかどうか、不安になる。
裏会からやってきた調査団は、この烏森が特殊な立地だと言った。
本来ならば、神域というものは、私たち人間が住む世界からは隔絶した場所にある。
人間と共にあるこの地は、確かに変わっているのかもしれない。
夜ならば、敷地全体にある種の結界が張られていて、人間界から切り取られたようになっているけれど。日中は敷地内に建つ烏森学園に、何百人もの生徒が通ってきている。
妖との戦闘で、校舎を壊したこともある。
あの時、中に人がいたら・・・。
ぞっと背筋が寒くなって、時音は身震いをした。
「おーっす! 時音ー!」
能天気な声で駆けてきたのは、同じ結界師の仕事をする幼馴染。
「わりぃ。遅くなって」
ひょいっとジャンプして、隣に座った良守の手には、愛飲のコーヒー牛乳の500mlの紙パック。ズズッと音を立てて、最後の一口を飲み終えた。
「ぷはーっ! やっぱ、うめーな」
満足気な笑顔に、ふーっと力が抜けていく。
「・・・あんたはお気楽でいいわねぇ・・・」
ぽつりと愚痴が零れた。
私よりも2つ年下の良守は、いつだって能天気だ。
まぁ、だからと言って頼りにならないわけではないけれど。頭で考える前に、身体が動いてしまうタイプで。力は強いけれど、考えなしの行動が眼に余る。
「何だよ、それ」
「なーんにも考えてないわよね、あんたって」
言うと、かなりムッとした顔になる。
「俺だって、色々、考えてるよ」
「へぇ? 何を?」
「・・・・・強くなる方法、とか?」
「とか?」
「・・・・・烏森を封印する方法、とか?」
「まだやる気なんだー」
「うるせー!」
くすくすと笑いながら、ムキになって喚いている良守を見た。
「まぁ、一日二日で何とかなるとは思ってねーし。それでも、夜は来るわけだから。やれることからやってくしかないじゃねーか」
すくっと立ち上がって、「見回りしてくる」と飛び降りていってしまった。
私は深刻に考えすぎなんだろうか?
底抜けのオプティミストが結局は世界を救うのかもしれない。
頼もしいところも、あるじゃない。
「白尾。私たちも行こうか」
「オッケー、ハニー」
良守が走り去った方向とは逆方向へと、私も駆け出した。
いつだって。あの楽天家に助けられている。
私の心を掬うように、いつの日か烏森のことも救ってしまうのかもしれない。
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