■ ■ ■ 空に散る花 改訂版08
「・・・・・はっ・・・・・」
キーボードを打つ手が止まると、室内は静まり返っていた。
だから、押し殺したような声が大きく響いた。
寝言とか、寝返りとか。そんな声じゃない。明らかに苦しそうな声だ。
振り返るとベッドで眠っている若宮は、こちらに背を向けるようにして丸くなっていた。
「シュウ?」
呼んでも反応がない。ベッドに歩み寄ると、そっと覗き込む。
眠っているのは間違いないが、頬は熱を帯びて赤く火照っていた。
「・・・マジかよ」
手を伸ばして額に触れると、かなり熱い。さっきまでは具合が悪そうな素振りすらなかったのに。
あ、と思い当たる。
コイツ、だからあんなに絡んだのか?
しょうがないな・・・と、薬を入れている引き出しを開ける。
一人暮らしで何が一番辛いかというと、体調を崩したときだ。だからこそ、風邪を引きそうだと思ったら、早いうちに薬を飲んで寝るに限る。薬は切らさないように気をつけたつもりだったから風邪薬を発見することはできたが、一番求めていた冷却シートがなかった。
そっか。使ってしまったか。
とりあえず風邪薬を取り出して、水を用意する。
「シュウ、起きろ」
軽く体を揺すると、「んー・・・」と力無く返事が返ってきた。
若宮は眠りが浅いらしく、普段ならばちょっとした物音でも起きてしまう。だから、キーボードを叩く指先からもいつもより力を抜いて、極力、音を出さないようにしていた。
「口開けろ、水だ」
「水・・・?」
意識があるのか無いのか。鸚鵡返しに反応しているけど、瞼は閉じたまま。それでも、薄く開かれた口に薬を放り込んで、コップを押し付ける。
流れ込んできた水に、苦しくなったのか顔を背けて、ごくりと飲み下した。
第一段階、成功。
さすがに男同士で口移しなんてやりたくはない。
斜めに起こしていた体を横たえると、何事もなかったかのように、すうっと寝入ってしまった。
これなら大丈夫か。
五分ほど歩いた交差点の角に、24時間営業のコンビニがある。冷却シートくらいならば置いていたはずだ。
コップをシンクに戻し、ジーンズに履き替えパーカーを羽織る。
出掛けに鍵を探すと、携帯の充電器の横に投げ出されていた。携帯は充電が完了したらしく、ランプが消えている。十分もあれば戻るんだし・・・と思いつつ、鍵と一緒に携帯を手にとってポケットに突っ込んだ。
キーボードを打つ手が止まると、室内は静まり返っていた。
だから、押し殺したような声が大きく響いた。
寝言とか、寝返りとか。そんな声じゃない。明らかに苦しそうな声だ。
振り返るとベッドで眠っている若宮は、こちらに背を向けるようにして丸くなっていた。
「シュウ?」
呼んでも反応がない。ベッドに歩み寄ると、そっと覗き込む。
眠っているのは間違いないが、頬は熱を帯びて赤く火照っていた。
「・・・マジかよ」
手を伸ばして額に触れると、かなり熱い。さっきまでは具合が悪そうな素振りすらなかったのに。
あ、と思い当たる。
コイツ、だからあんなに絡んだのか?
しょうがないな・・・と、薬を入れている引き出しを開ける。
一人暮らしで何が一番辛いかというと、体調を崩したときだ。だからこそ、風邪を引きそうだと思ったら、早いうちに薬を飲んで寝るに限る。薬は切らさないように気をつけたつもりだったから風邪薬を発見することはできたが、一番求めていた冷却シートがなかった。
そっか。使ってしまったか。
とりあえず風邪薬を取り出して、水を用意する。
「シュウ、起きろ」
軽く体を揺すると、「んー・・・」と力無く返事が返ってきた。
若宮は眠りが浅いらしく、普段ならばちょっとした物音でも起きてしまう。だから、キーボードを叩く指先からもいつもより力を抜いて、極力、音を出さないようにしていた。
「口開けろ、水だ」
「水・・・?」
意識があるのか無いのか。鸚鵡返しに反応しているけど、瞼は閉じたまま。それでも、薄く開かれた口に薬を放り込んで、コップを押し付ける。
流れ込んできた水に、苦しくなったのか顔を背けて、ごくりと飲み下した。
第一段階、成功。
さすがに男同士で口移しなんてやりたくはない。
斜めに起こしていた体を横たえると、何事もなかったかのように、すうっと寝入ってしまった。
これなら大丈夫か。
五分ほど歩いた交差点の角に、24時間営業のコンビニがある。冷却シートくらいならば置いていたはずだ。
コップをシンクに戻し、ジーンズに履き替えパーカーを羽織る。
出掛けに鍵を探すと、携帯の充電器の横に投げ出されていた。携帯は充電が完了したらしく、ランプが消えている。十分もあれば戻るんだし・・・と思いつつ、鍵と一緒に携帯を手にとってポケットに突っ込んだ。
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